これまでの人生を振り返る(8)~アニキ~


 
前回からのつづき。

中学入学早々、番長に捕まり、全校集会をサボらされ、部室に拉致された。

キレたら鉄パイプ振り回して腕を折るというめちゃくちゃヤバイ先輩。


―――なぜ見た目かわいい俺を?

―――カワイイからか?

―――ソッチ系なのか?

俺の太もも位ある筋骨隆々な腕で羽交い締めされたらもう抗えないだろう。


―――腕を折られるのと、ケツを掘られるのとどっちがマシだろう?

―――ケツは一回でも掘られたら、何度も掘られる…。

―――腕折られる方が一回きりだからマシか…。でも超痛いし、そのあと不便だろうな、いろいろ…。

―――「アニキ」と呼ぶか…?


そんなこと考えながら脇汗、股汗ダラダラかく。


―――よしアニキと呼ぼう…!


と思った瞬間…。

先に番長が口を開いた…。



『アニキ…』


―――…え?逆に?



『お前、兄貴おるよな?』


俺の4コ上にいる、実の兄貴の話だった。



『お前の兄貴には世話になったんぞ』



俺の兄貴は、この番長が一年生の時に三年生だったそうだ。



『お前の兄貴には随分世話になったけん、お前のこと可愛がってやろうと思っとったんぞ…』



俺が目をつけられていた謎は解けた。



「可愛がる」=(イコール)「腕を折る」 or 「ケツを掘る」…。 



さらに

『お前、イキったチャリ乗っとったな?』


“イキる”


よく言われたフレーズ。

調子に乗ってるって意味だ。


何か目立つことすると「アイツ、イキっとんな。ちょっとシメたらなあかんな」となる。



当時は自転車を改造するのが流行っていた。

いわゆる「変形ハンドル」にするというのが不良のポリシーだった。

それも中3になってからじゃないとやってはいけないという暗黙のルールがあった。

中1、中2でやると中三から「イキってる」といわれて睨まれるからだ。



俺の兄貴も中3の時に変形ハンドルにした。


卒業後、その自転車を小6の俺が乗っていた。

それが中1中2の連中は気に入らなかったのだろう。


どうやら知らない間に「小学生のくせにイキったチャリ乗ってるイキったヤツ」になっていたようだ。


(つづく)