茅野の川に立つ奇抜なカカシ達。実は深刻な問題を抱えていた…。

茅野市宮川、JR茅野駅の南側、中央本線と並行するように流れる上川。

諏訪湖に流れ込むこの川沿いに奇抜なカカシ群が…。



シュールすぎる…。

いったいこの地区に何が起きているのか…。

ただのカカシではなさそうだ。


どうやら漁協による害鳥対策ということは分かるが、なぜこんなにもインパクトあるカカシにしてあるのか。

その世界観は…?

設置した諏訪東部漁業協同組合に問い合わせてみた。


話をしてくれた漁協の男性曰く、
今、全国的に問題になっている害鳥「川鵜(カワウ)」や「サギ」から鮎を守る為だという。

川鵜は鵜飼で使っているウミウと似ているが、カワウの方が多少小型だ。
捕食量は1羽が一日に約500g食べる(体重の3~4分の1)といわれ、集団で飛来して大量に魚を食べる。
その被害額は、多い地域では数億にも上るそうだ。

川鵜(ヵわう) この川鵜、狩猟鳥類に指定されているのだが、銃器による駆除は安全に撃てる場所が限られている為にどこでも使用はできない。
そして、川鵜が主に捕食する時間は日の出前・日の入り後だが、その時間帯は銃器が使えない。
また、生息数は駆除で減っても3ヶ月程で他地域からの移動によって回復してしまうため、イタチゴッコならぬカワウゴッコだ。

現に、この諏訪東部は住宅街であることから銃器使用は認められていないのだが、少し離れた諏訪湖では銃器による駆除がされている。
諏訪湖を追われた川鵜が銃器使用のできないこの諏訪東部(茅野)に逃げてきてしまうそうだ。

地域によっては放流した稚魚の8割が食べられてしまうこともあるという。
この時期は毎年のように問題になっており、漁協では手を変え品を変え、試行錯誤しながら対策を練っているがどれも抜本的な解決には至っていない。

さまざな対策を講じながらデータをとっており、有効な対策を探っている途中だ。
その今年のテーマが「かかし」だという。

川鵜は警戒心が強い鳥で、人が近づくだけで飛び立ってしまう。
かかしによる追い払いは有効性が認められており、風によって動いたり、服の色は黄色や白色の方が有効だそうだ。
慣れを無くすために、1週間ごとの場所の移動や服の着せ替えなど細かな管理も必要になる。

なるほど、あの奇抜な風体は川鵜の慣れを無くすためだったのだ。

あかざわみゆきではない。

福山玉太郎ではない。

それにしても、インパクトのあるカカシたち。


立ち姿でこれほどにまで人を惹きつける力。

カカシ相手ながら若干の嫉妬を憶えた。

 

街歩き

Posted by magaobu