人が集い蘇る。ばんえい馬ヤマトが拓く信州・松本平の里山
北海道ばんえい競馬の力持ちの馬。
重いものを牽引するのが得意な「ばん馬」が松本市岡田の里山にいる。
名前は「ヤマト」、11歳の雄馬。2015年まで第一線で活躍していた、ばんえい競走馬だ。
飼育、訓練をしているのは、柳沢林業(松本市岡田)の原薫社長をはじめ、同社社員の犬飼哲平さん、小山由紀子さん。
原さんはこれまで林業に携わりながら、ある矛盾を抱えていた。
山に優しい林業をしたいとの想いがありながら、その現実は、効率化やコストなど…様々な問題があり、機械に頼らざるを得ない。
木を伐り出して運ぶため、作業をする道を重機で造る。
これにより「山の手入れをするための道を作ることが山にダメージを与える」という矛盾が生じているという。
そこで思いついたのが、昔ながらの馬を使った林業だ。
重機と違い、馬が木材を運んだ跡なら、すぐに植物が生えてくる。
さらに松本は地域、地形の関係で重機を入れるのが難しい場所が多いため、馬による林業「馬搬(ばはん)」が非常に有効だという。
馬搬なら大規模な作業道も必要なく、コストを抑えることが可能。
環境に配慮しつつ低コストでの施業が可能な、信州松本の里山再生には最適な方法なのだ。
ただいま馬搬訓練中!
ヤマトがここに来たのは2016年7月。関係者の協力のもと、馬搬のための訓練をしているヤマト。
まだ実際にこの山意外での馬搬デビューはしていないが、そのうちいろいろな現場で活躍してもらえれば、引退したばんえい競走馬の活躍の道が広がる。
さらにこの昔ながらの林業方法「馬搬」を広め、再び信州・松本平の里山に復活させたいと、原さん。
人が集い、楽しめる里山へ
牧場跡地で長年放置されていた為に荒廃していたこの場所。現在、地元有志のメンバーと共に、整地、厩を立てるなどし、整備をすすめている。
将来的には人々の交流、憩いの場、さまざまなイベントなどが行われる、人が集う里山にしたいという構想もある。
この日は、これまでの活動で造った窯を使って、地元の料理人の方が手作りピザを提供してくれた。
ヤマトを象徴として、この里山には子供からお年寄りまでたくさんの人がつぎつぎと集まってくる。
「昔ながら」を取り入れた、「新しい」カタチの地域コミュニティ。
伝統を引き継ぐことで蘇る、馬、山、人、交流…。
ヤマトは地域を引っぱり、里山の未来を切り拓いていく。
※現在、馬搬を実践するための馬の購入費・調教費を
クラウド・ファンディングで募集中だ。
https://a-port.asahi.com/projects/yamatouma2015/
※『馬搬』とは・・・ 馬を使って山から木を運び出す技術のこと。 ヨーロッパ諸国では、環境に優しく、手間やコスト面で有利になることもある馬搬が積極的に取り入れられている。
ヤマトに会える里山(松本市岡田787-2)
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