達人から学んだ「人間関係の極意」が深すぎる…。
『真味只是淡(しんみはただこれたん) ~洪自誠『菜根譚』~』
仕事の関係で、料理研究家・横山タカ子先生の講演会のイベント運営をしています。
場所は松本市上土の古い劇場「上土劇場」。
このホールの運営は会社の仕事の一つなので、この日もスタッフワークでした。
横山タカ子先生は信州郷土料理の第一人者で、年間何百という講演活動をしておられ、NHKにも出演、数々の著書を持つ超人気料理研究家であり、料理の達人。
講演会は、実際に横山先生が作った料理の試食があり、そして楽しいお話、為になるお話、最後はサイン会…、といつも大盛況。
こんなにこのホールにお客さんが入ることは滅多にありません。
お話がとても上手で、終始笑いに溢れ、軽快でとても楽しい講演会。
横山先生は料理の話だけじゃなく、いつも人生においてとても大事な言葉を教えてくださいます。
今回の話の中に出てきた言葉がコレ。
『真味只是淡(しんみはただこれたん)』
これは中国の古い文献に出てくる言葉だそうです。
その意味とは…
聞いただけではなんとことかさっぱりですが、先生の説明を聞くと
食と人生においてとても深く本質的な意味でした。
濃厚な味の料理は始めはおいしく感じるけど、そればかりを食べ続けると飽きてしまう。
真の味わいとは、米や水のようにサラリとして淡泊なものである。
ということだそうです。
美味しいからといっても毎日、焼き肉や鰻ばかりは食べられませんよね。
それは主食じゃないからです。
主食とは一番大切なモノです。
一番長く、一番身近なモノ。
だからこそその味わいは淡泊でなければならないということなのです。
そして…
真味(しんみ)を淡(たん)とする考えは、世間での交わり、つまり人間関係においても言えることだと教えていただきました。
仲良くなると、つい本心を知りたがったり、お節介を焼こうとしたり、ズケズケと人の心に入ってこようとする人がいます。
関係をさらに深めたい、と思う気持ちはあるでしょうけど、
ベタベタと濃厚親密な関係は、得てして長続きしないもの。
「君子の交わりは淡きこと水の如し」という言葉もあります。
淡にこそ交際の真味が存在するということですね。
とても腑に落ちました。
大事だと思う関係こそ、あまり深入りせず、淡泊なくらいがお互いを尊敬尊重できて丁度良いのです。
あまり熱い絆、友情を意識しなくても
大切なものは淡く、緩く、長く続いていくものですね。