謎のモダンガールが佇む庵の主は、〇〇の達人だった…!


先日通りかかった塩尻市(松本市隣接)の住宅街に、かなりのインパクトを放つ一画が…。

何だこの異次元空間は?


一瞬、パラレルワールドにトリップしたかと思うほどの衝撃。

「どうぞお気軽にお掛け下さい」と書いてあるが、とてもこのお嬢さんの隣りに座る度胸はない。

後ろには『白ユリ美容室仮店ポ』と書いてある。

美容室?仮店舗?確かに奥に建物がある。

いやまさか。
横に周り込むと一面に、シュールさ醸し出すさまざまなオブジェがトッピング。


『上條庵』?

そしてなぜか「ハーレーダビッドソン」の文字。


完全に異空間に足を突っ込んだ。

勇気をもって中に声をかけてみる。
返事なし。

一歩踏み込んでみる。
誰もいない。

もっと入って行って調べたいが、これ以上は不法侵入になる。

近所の人に聞き込みをしてみた。
公園で子供たちを遊ばせているママさんたちの話では

もちろん美容室仮店舗ではなく、持ち主の方の「畑」兼「物置」のようなところで、たまにハーレーでやってきて畑仕事をしているとか…。

やはりハーレーが。

凄い世界観だ。

ハーレーで白ユリ美容室仮店舗に来て、畑仕事を?

完全にカオス。


謎多き白ユリ美容室仮店ポ。

この時は声を掛けても誰もいなかったので、名刺に挨拶だけ書いて置いてきたのだ。

すると先週、そこのご主人から電話がかかってきた!

是非お話を聞きたい、中を見せてもらいたいとお願いすると、快く承諾してくれた。

どうやらお住まいは現地の近くだとか。

 

人を楽しませる達人。オシャレな老紳士の正体

 

後日再びアポを入れ、待ち合わせ。

そして待ちに待った当日。

9月後半とは思えない汗ばむ午後。

現地に伺うと、噂通りハーレーが停まっている。

あのシュールな東屋の前にド迫力のハーレー。

やはりカオス。

前回は敷地内には入れなかったが、今回は堂々とお邪魔する。

内部は草木が茂り、涼しい。

細い通路を進むと奥に開けた広場。
テーブルとイスが置いてあり、そこに年配の紳士が。


オシャレな帽子、ハイカラなシャツ。歳は60後半か70歳くらいか。

一通り挨拶と自己紹介をする。

艶のある肌。渋い声。非常にフランクで陽気な老紳士。

お名前は上條さんという。


確かに表には『上條庵』と書かれていた。

聞けば近くの駅前で美容室を経営されているとか。

まさか白ユリ美容室?

…表に出ている「白ユリ美容室仮店ポ」の看板は?

『うん。店の改築時に作ったヤツだよ』

謎が解けた。

…ではここは「白ユリ美容室仮店ポ」ではない?

『ここは違う。ここは「上條庵」か「リゾートカミジョウ」って呼んでるね』


どうやら、上條さんはもともと美容師。そして美容室経営をしながら今は半隠居状態。

この土地は上條さんの「別荘」だとか。「畑」兼「秘密基地」のようなモノ。


…どうしてこのような場所を?

『そりゃ面白いからだよ。面白いと思うモノを集めたり自分で作ってる。』

なんと東屋(あずまや)や門柱なども全部ご自身で作られたそうだ。

すべて上條氏が作ったものだ

さすが美容師さんだけあって器用なのだ。

『今はマジックもやってるよ。芸名はチャーリー。』

多才。

 

人生においてたった一つの成功法則とは?

 

それにしても、一代でここまでの成功は凄い。

『簡単だよ。成功したかったら方法は簡単。成功の極意はたった一つ』

…それは?

『帰ったら奥さんにも言っときな』

…で、成功の極意は?

『これさえやっとけば必ず成功する。仕事でも家庭でも言える事だよ』

…で?

『それはね。諦めないこと。

今の人たちは成果が上がらないとすぐ諦めて他のことをしちゃう。

いろいろなことに手を出すより、一つの事、一つの場所で極める方が絶対に強い。

箸でお米を拾う如く、コツコツコツコツ地道に毎日努力していれば、必ず大事を成せる』

深い。

焦らしもタメも深いが。

当たり前のようなことでも、この方が言うと俄然説得力が違う。

 

人生は楽しむ。楽しませる

 

上條氏の口からは、人生を長く吟味して楽しんできたツワモノゆえの、深~い言葉がポンポン飛び出す。


その上條氏、本職である美容師として一代でここまで上り詰めたのだが、なんと結婚してから美容師になろうと決意し、修行したのだとか。

語録が面白い。

『カラスと一緒で、持って帰った餌はとりあえず棚の上にしまっちゃう。お金でも何でも。

ある日、押入れを整理していたら札束が出てきた。数千万あったかな』

『愛だの恋だの一時の感情で結婚しちゃダメ。人生は先を見なきゃ』

『人生は楽しいのが一番。もちろん人も楽しませる。笑わせなきゃダメ』

『ハーレーは何台もある。かあちゃんハーレー買うからお金。って』

まあ面白い。

もっともっと聞いていたい。


そしてこの話が深かった。

『スーパーに買い物行っても、ポンポン買い物カゴに品物入れるようじゃダメ』

…というと?

『値段と質をしっかり見て本当に買うに値するかどうかをしっかり見る』

…気軽にモノを買うなと?

『そう。でもケチっちゃダメ。必要なモノなら幾ら出してもいい。要するに吟味することが大事。

人生は買い物でも交際でも何でもよーく吟味すること』

なるほど。

ここに集められたシュールなモノも、上條氏がきちんと吟味した品だからこそ、奇抜な中にも味があるのだ。

この場所の世界観が何となく分かってきた。

まだまだ奥深いリゾートカミジョウ


いつでも遊びに来ていいと言っていただいたので、今度またお邪魔して為になる人生の話を聞いてみたいと思う。

驚嘆するほどのバイタリティー、そしてサービス精神。

人を楽しませ、人生を楽しむ男、上條氏。

この歳の重ね方はまさにミドル世代の理想形だ。


(おわり)

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大西 祐次郎

プロ真顔ニスト、真顔評論家、真顔ニスト講師、真顔アーティストなど、さまざま真顔活動を通して真顔を広める。 真顔で世界を変えるべく、日々真顔の研究を続けている。